BL漫画も、今ではメジャーなジャンルとして認知され、BL漫画原作のメディア化作品も次々に発表され、これまでBLに興味がなかった方の目に触れる機会も増えています。
本記事では、人気BL漫画の中から、アニメ化された作品を独自にセレクトしてご紹介していきます。BL初心者の方にも読みやすい作品を選びましたので、興味を持っていただけると嬉しいです!
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アニメ化されたおすすめのBL漫画5選
本記事で紹介するアニメ化されたおすすめのBL漫画は以下の通りです。
同級生
BL漫画界の大家・中村明日美子先生の代表作、同級生シリーズ。シリーズ自体は「blanc #2」が最新作となっており、10年以上の長期連載として続いています。
今回は、劇場アニメ化された「同級生」にフォーカスしてご紹介していきますね!
目を引く金髪で女子にもモテるバンドマンの草壁光(くさかべ ひかる)は、黒髪メガネの見た目通り、全教科満点で入学した学校一の秀才・佐条利人(さじょう りひと)とは凡そ関わることのない人種だった。
そんなある日、合唱祭の練習中に、光は利人が口パクで一切歌っていないことに気が付く。「勉強に関係ないことは必要ない」そんな風に思っているのだろうか。しかしその放課後、光の想像とは裏腹に、教室で一人、ひたむきに歌の練習をする利人の姿があった…。
と、二人の出会いはこのように始まります。
一見クールで何事にも興味がなさそうに見える委員長タイプの利人が、実は誰よりも不器用かつ恥ずかしがりで、誰にも相談できずに一人で頑張っている光景に何かを感じた光。合唱祭に向けて、二人で歌の練習を続けるうちに、その小さな気持ちが恋心に発展していくストーリーになっています。
『Jの総て』『2週間のアバンチュール』をはじめ、「金髪×黒髪」「チャラい×真面目」といったビジュアルでの対比と、「素直×偏屈」「開放的×奥手」といった内面的な部分の掛け合わせは先生お気に入りのモチーフなのかなと思います。
同級生の二人の相性もかなり最強で、軽薄と誤解されがちな光ですが、人の気持ちや周りとの関係について、大人な考え方ができる優しい子ですし、利人も冷たくて他人に興味がないのではなく、自分の気持ちを表現するのが苦手で、他人に興味があるのに空回ってしまう、愛らしいタイプだと分かっていきます。
そんな二人がお互いに尊重しながら、同性愛ゆえの葛藤を交えつつ、普遍的な恋愛ストーリーとしての王道を捉えたBL漫画の傑作が「同級生」シリーズと言えますね。
中村明日美子先生は、ボーイズラブ以外にも、『コペルニクスの呼吸』や『ウツボラ』に代表される耽美な作風から、『鉄道少女漫画』や「同級生」のように、日常的で穏やかな恋愛の細かな機微を描き分けできる稀有な作家さんです。
もちろんアニメ版にも、原作の雰囲気が余すところなく発揮されています。水彩画風の温かいタッチは、作品の世界に視聴者を自然に誘ってくれますし、シャープに引かれたキャラクターの輪郭は、光と利人を生き生きと画面上に浮かび上がらせることに成功しています。
できることなら、同級生シリーズはすべてアニメ化して欲しいくらい大好きなので、続編に期待しつつ原作を読み返しています。BL漫画好きの方は見たことのある方がほとんどだと思いますが、そうでない方にも心から見て欲しいと願う作品です。
ギヴン
ギヴンは、男子高校生・大学生バンドが織りなす、切ない青春グラフィティBL漫画です。
好きだったはずのギターやバスケへの熱が、ぼんやりと薄れていくのを感じていた上ノ山立夏(うえのやま りつか)は、人のいない静かな階段の踊り場で、壊れたギターを抱えて眠っている佐藤真冬(さとう まふゆ)と出会い、物語は動き出します。
退廃的というほど過度に壊れておらず、日常と呼ぶには鮮烈すぎる若者たちのひと時が繊細に描かれている作品です。BL描写はそこまで力強くなく、あくまでもストーリーを構成する要素として、BLが存在するといった感じです。線が細かく、モノクロのトーンで淡く塗り分けられた今風の絵柄で、爆発的な人気を誇っていることにも納得です!
2019年7月にフジテレビ「ノイタミナ」でアニメシリーズ化されたことに加えて、2020年8月には劇場版アニメも公開されました。さらに、2021年7月17日にはフジテレビ「FOD」でオリジナルドラマも配信されています。
序盤では、立夏と真冬を中心に物語が展開しますが、途中からは秋彦(あきひこ)と春樹(はるき)が主軸の物語に切り替わっていきます。どちらも大変よきなのですが、私のイチオシは真冬と立夏の初々しいキュンキュンシーンの数々です!特に初ライブでの「ただ抗えない」がたまらないです!
作品に共通してキャラクターの過去が重い影を落としていて、それが良い意味での味付けなってますね!
いわゆるパリピ系のバンドマンが、恋愛やドラッグに溺れていく『NANA』のような感じではなく、寂しい過去を背負った若者たちが、それぞれの道を選んで成長していく姿を捉えた群像劇になっています。
バンドものらしく、作品のターニングポイントではライブシーンがあるのですが、音の鳴らせない漫画という媒体で、生演奏の熱量やあふれ出る心情が効果的に描かれていて感動します!非BLコミックですが、大人気ジャズ漫画『BLUE GIANT』のような勢いのある表現力は圧巻です。
アニメ版でも、このライブシーンは素晴らしい出来で制作されており、メディア化されて本当に良かった!と思うこと間違いなしです。BL漫画の枠を超えた名作として高く評価されている今作ですが、アニメ版では迫力のあるシーンや美麗なカラーイラストに心を奪われますし、漫画版では間の取り方や心理描写の巧みさに驚かされます。
純情ロマンチカ
生活能力ゼロで俺様な宇佐見に振り回されながらも、持ち前の明るさと家事能力の高さで、二人の共同生活は順調に進んでいくかと思いきや、ある日美咲は、兄(孝浩)と宇佐見を主人公にした「BL小説」を見つけてしまいます…。
第一印象最悪なところから始まった二人の関係性が徐々に優しい関係性に変わっていく過程に癒されたり、ポップで笑える展開につい笑ったり、宇佐見の隠していた本当の気持ちに切なくなったりと、感情が忙しいのですが、一度読んだら止まらなくなってしまう魅力があります。特に、ウサギからの少しエッチなイタズラに困りながらも、なぜかドキドキしてしまう美咲の表情には、とにかく萌えます!
中村春菊先生の代表作であり、純ロマで商業沼に堕ちた人も少なくないのではないでしょうか。
作品が進んでいくにつれて、複数のカップリングが登場するのですが、私はやはり「年上俺様イケメン天才小説家攻め×可愛くて家庭的なツンデレ高校生受け」のメインカプが思い出深い!ちなみに1巻のサブタイトルは「小説家×高校生のファースト・ラブレッスン」です。
アニメ版も人気シリーズで、2008年4月から2015年9月までの間に、3期までのアニメ化が放映されていました。アニメ版の美咲くんは櫻井孝宏ボイスで余計にキュンキュンします。好きなBL漫画のキャラがアニメで動くのを見られるのは素直に嬉しいです。
さらに『世界一初恋~プロポーズ編~』が今年6月11日(金)から各種配信サイトで公開されていますので、こちらもお見逃しなく!シリーズ一気見からのプロポーズ編の流れは最高ですよ!
2002年に連載開始してから、もうすぐ20年になりますが、原作は既刊25巻で絶賛連載中です!ただ残念なことに、電子書籍サービスには今のところ対応していないとのこと。恋コミで純ロマを読める日がくることを祈るばかり。
最近の漫画とは少し絵柄が違うため、取っつきにくいと感じる方もいるかもしれません。しかしながら、内容はエッチな部分も含めて、そこまで重くならないので読みやすく、表紙も含めて少女漫画風なので、初心者の方にもおすすめできるBL漫画です。
海辺のエトランゼ
海辺のエトランゼは、訳あって沖縄の離島で暮らしている小説家の卵・橋本駿(はしもと しゅん)が、どこか孤独を抱えた高校生・知花実央(ちばな みお)と出会うことから始まるBL漫画です。美しい海が随所に描かれた背景と、柔らかく穏やかな空気感に心が洗われる、と評判です。
実際、心が浄化されたような気持ちになります…。
こちらの作品は、今年10月29日に公開予定の『アイの歌声を聴かせて』で、キャラデザを担当している紀伊カンナ先生の初BL漫画作品となります。先生は、元々アニメーターを経てイラストレーター活動をしていたこともあり、その圧倒的な画力と多彩な表現力には平服せざるを得ません!
本作と同様、沖縄の綺麗な海を舞台にした作品は、実写アニメBLを問わず多数ありますが、その中でも海辺のエトランゼの描写は素晴らしく、作品の世界観をこれ以上なく効果的に表現しています。
冒頭に記載した二人の出会いから物語が大きく動き出すまで、作中では3年の月日が流れます。出会った時点では、いつもベンチに座っている実央の姿に一目惚れした駿が、実央をナンパして交流がスタートするのですが、二人は一旦離れることになります。
そして3年後、島に帰ってきた実央から、駿は逆に告白されるのですが、駿はストレートに実央の想いを受け入れることができません。駿からみた実央は「ノンケの年下男子」であって、わざわざゲイの自分と付き合う必要はないのではないか、と悩んでしまうためです。逆に実央は3年間、「ゲイの年上男性」である駿への特別な気持ちについて真剣に悩んでいたことが描写されます。
海辺のエトランゼの人気を支える要因のひとつに、現実問題としてのBLと真摯に向き合う姿勢が挙げられると思います。小難しく言いましたが、好きだけでは進めない、恋愛のもどかしさや、二人の気持ちに感情移入してキュンキュンしちゃうということです!
ゲイとノンケの葛藤を描いたBL漫画としては、水城せとな先生の『窮鼠/俎上の鯉』などが有名ですが、こちらの作品でも「昔の女」が当て馬ポジとして登場するので、人によっては地雷要素になる可能性があります。
どちらかというと、BLは舞台装置に近い役割を果たしているので、濃厚なBLを求めている方は物足りなく感じるかもしれません。
さて、次に2020年9月11日に公開された劇場版アニメについてですが、こちらも過不足なく原作を踏襲しており文句のつけようがない出来となっています。というより、原作者の紀伊カンナ先生がキャラデザ兼監修として参加してますので、最初から約束された勝利だったと言えますね!
鮮やかに着色されたアニメーションは美麗としか言いようがなく、原作の雰囲気を踏襲したセリフ回しや声優さんの演技に満足すること間違いなしです。
LOVE STAGE!!
アニメ化されたBL漫画の中でも、LOVE STAGE!!は、芸能人のDAIGOがモデルになったキャラクターが登場することで有名な作品です。
主人公の瀬名泉水(せな いずみ)は、芸能一家のエリートとして生まれたものの、過去に出演したCMでの失敗が大きなトラウマになってしまいました。そのことから、引きこもりがちなオタクになってしまった彼ですが、人気若手俳優の一条龍馬(いちじょう りょうま)が「10年前にCMで共演した女の子を出すこと」をオファーの条件にしたことで、10年ぶりに芸能活動を再開することに、そこで運命的な再開を果たします。
この作品は、BL漫画ではありますが、龍馬が泉水のことを「10年間想い続けてきた美少女」として認識しているところからスタートするので、BLの普遍的なテーマである「同性愛への葛藤」が、丁寧に描かれていることが印象的です。
基本的には少女マンガノリなコメディと、終始ハッピーオーラの漂う華やかな芸能界ものですが、最終巻の黒井くんとのやり取りなど、BLの本質的な部分についてハッとする場面もありました。
主人公たち以外にも個性的なキャラクターが揃っていて、その中でも泉水大好きなブラコンお兄ちゃんの、SHOGOこと瀬名聖湖(せな しょうご)が私的にはツボです。アニメでは実際にDAIGO本人が声優を担当しており、その名演技は必見!
私の場合、アニメから先に入ったこともあって脳内が「CV:DAIGO」してしまい、思い出して何度か大声で笑ってしまいました。
泉水はノンケ受けでありながら、付き合ううちに人間的な龍馬の魅力に気付いていき、次第に性別の壁を越えた恋愛感情が芽生えていく、というストーリーは王道ではありますが、やはり何度見てもよいもの!
直接的にエッチなシーンは、ある程度規制されていますが、アニメ版を強くおすすめしたいです。なお、リバあるので苦手な方はご注意を…。
BL漫画のアニメ化は、原作へのリスペクトが伝わってくる作品が多く、好きな作品がアニメ化されると幸福で胸が満たされます。
今回は、初心者の方向けにボーイズラブ要素が若干薄めな作品をセレクトしてみましたが、いかがでしたでしょうか。
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今後も、皆さんのBLライフがより充実するためのお手伝いをしていくために、全力でがんばってまいります!