本記事では、商業BLとは何か、その意味や二次創作との違いを徹底解説します。
結論から言うと、商業BLとは、出版社から販売されるオリジナルのBL作品のことで、本屋さんで買えるBL漫画です。一方で、 二次創作とは、いわゆる版権BLのことで、個人の作家さんが自費出版しているBL漫画です。同じBL(ボーイズラブ)という枠組みですが、両者を比較すると深い違いが見えてきます。
年齢制限や購入場所の違いなど、詳しい部分もわかりやすく紹介するので、BL初心者さんもぜひ参考にしてください!
商業BLと二次創作の特徴を比較
まず、商業BLと二次創作との違いについて、以下の表にまとめてみました。
特徴 | 商業BL | 二次創作 |
販売元 | 出版社 | 個人の作家さん、サークル |
購入できる場所 | 一般的な本屋さん (電子書籍版の配信もある) | 即売会イベントや専門店 |
作品内容 | 一次創作(オリジナルのBL作品) | 二次創作がメイン |
年齢制限 | 作品によって異なる | 性描写があると年齢制限あり |
商業BLとは、出版社を通して販売されているBL漫画のことで、一般的な本屋さんで誰でも購入できます。二次創作のように元ネタがあるわけではないので、基本的に「はじめまして」の作品になります。最近は人気の商業BLになると映像化することも多いので、アニメから知って原作を買い始めたというケースも多々あります。
一方で、二次創作(版権BL)は人気漫画を元ネタにした二次創作のことです。一部の例をあげると、鬼滅の刃、銀魂、ハイキューなど、人気漫画の世界観やキャラクターを軸に、オリジナルの胸アツなストーリーが展開されます。二次創作の場合は、一般的な本屋さんでは購入できず、コミケをはじめとした即売会イベントを中心に流通しています。
数年前までは、非公式商業アンソロジー(海賊版アンソロジー)と呼ばれるコンテンツもありましたが、現在はほとんど発行されていません。一部の出版社が二次創作の作品を商業的に出版していたもので、著作権の観点から問題となった歴史があります。
では、それぞれの特徴の違いについて、詳しく解説していきます。
販売元の違い
商業BLは、出版社を通じて商業流通されているBLという意味で、一般的な書店で購入できます。
一方で、二次創作BL(同人BL)は、出版社を通さずに個人の作家さんなどが自費出版しているBL作品です。同人BLは一般的な本屋さんでは置いていません。
主に即売会イベントやアニメイトなどの専門店で購入する場合が多いです。自分の好きな作家さんがいたら、Twitterでフォローして、新作の情報や販売スケジュールなどを追っていきましょう。
最近は、紙の本ではなく、スマホで読める電子書籍版として配信されている商業BL作品も多くあります。電子書籍版の普及によって、昔よりもBL漫画が買いやすくなりました。個人的にも、本屋さんでBL漫画を買うときに、表紙を裏にしてレジに出すあの恥ずかしさを味わう手間が省けるのでかなり買いやすくなりました。
作品内容の違い
商業BLは基本的にオリジナルストーリーの作品がメインで、一次創作の作品となります。商業BLは人気作品になると、アニメ化や映画化、実写化などで、映像化される傾向があるのも一つの特徴です。
一方で、同人BLは二次創作の作品がメインです。既存の人気漫画(元ネタ)のキャラクター設定、世界観などをもとに、オリジナルのBLストーリーやパロディが展開されていきます。
公式の漫画では絶対に見ることができないようなシチュエーション・設定で、推しキャラたちのあんな姿やこんな姿を妄想して楽しめるのがポイントです。
個人的な二次創作との出会いは、中学生の時にドはまりしていた「D.Gray-man」の情報をネットで漁っていたときでした。年齢がバレそうなのでこれ以上の詳細は避けますが、「こんな世界があるんだ」と子どもながらに思った記憶があります。
年齢制限の違い
商業BLは性描写が含まれる作品でも、基本的に年齢制限はない傾向にあります。漫画だけでなく、小説、ドラマCDも同様で、本屋さんで購入できます。
ただし、作品中の性描写の割合によっては年齢制限が付く場合もあります。また映像作品については年齢制限があります。
一方で、二次創作は基本的に性描写があると年齢制限が付きます。
販売場所や年齢制限を考慮すると、商業BLの方が、誰でも年齢問わず、本屋さんで気軽に買えるBL漫画といえますね。
おすすめの商業BL漫画
では、具体的に商業BL漫画はどんな作品があるのでしょうか。
本記事後半では、筆者が独断と偏見で選んだ初心者でも読みやすい人気の商業BL漫画をあらすじを含めて紹介していきます。
どのBL漫画から読めばいいかわからない、と、BL沼の入り口付近をウロウロ迷っている人は、ぜひ参考にしてください!
ひとりじめマイヒーロー
「ひとりじめマイヒーロー」はアニメ化もされた人気BL漫画です。筆者もアニメ化がきっかけでこの作品を知りました。
この漫画を一言で言うと、「不真面目な男性教師×ヘタレヤンキー男子高校生の純愛BL」です。一般的なBL作品では真面目な先生xヤンキーという設定はよくありますが、この漫画はその逆で、先生の方が喧嘩が強くてヤンキーの方が健気でヘタレという面白い設定になっています。
金髪ピアスヤンキー・勢多川正広は、その見た目とは裏腹にヘタレな性格です。不良のパシリをしてなんとか自分の居場所を作ろうとする日々を過ごしていましたが、ある日、高校教師の大柴康介と出会ったのがきっかけで、康介の舎弟となることに。
高校生の正広は、何でも一人で抱え込んでしまう苦労人のような性格です。そんな彼をみて、大人のパワーでぐいぐい引っ張りながら、支えたいと思っている康介。性格も真反対の2人が、すれ違いながらも近づいていく、そんなセンチメンタルな関係性がたまりません。
個人的には、大人の駆け引きに振り回される正広が可愛すぎてツボでした。作画も表情豊かで読みやすいです。
全体的にエロは少なめで話のテンポもいいので、BL初心者さんでも読みやすくおすすめですよ!
抱かれたい男1位に脅されています。
「抱かれたい男1位に脅されています。」通称「だかいち」は、漫画からアニメ化、舞台化までされている超人気BL作品です。私自身もだかいちはアニメから知りました。ネットでのレビューをみても、だかいちからBL漫画を読むようになったという声も多いです。
だかいちは芸能界を舞台にしたストーリーです。超人気俳優の西條高人は、女性雑誌の「抱かれたい男ランキング」で5年連続で1位を獲得し続けていました。ところが、今回のランキングでは、新人タレントの東谷准太が1位となり、高人は「2位」という屈辱の結果となることに・・・。
万年1位の座を奪われた高人は、この出来事がきっかけで、准太を超ライバル視しますが、ドラマの共演がきっかけでお互いの距離を近づけていきます。
芸能界が舞台のストーリーということで、他の共演者から狙われたり、パパラッチにスクープを撮られたりと、さまざまなトラブルにも巻き込まれていきますが、お互いを思いながら乗り越えていくストーリーとなっています。
個人的には、高人が准太のことを「ちゅんた」と呼ぶシーンがたまらなく萌えました。本当にかわいくてもうニヤケが止まりません。「ちゅんた呼び」の詳細はぜひ、みなさんご自身の目で確かめてください!!
ヤリチン☆ビッチ部
まずタイトルがなかなかに強烈な漫画ですが、中身もだいぶぶっ飛んだ設定でラブコメ感覚で楽しめるBL漫画です。ドラマCDも発売されている人気作品です。
舞台は山奥にある全寮制男子高校。東京から引っ越してきた転校生の遠野ですが、「1年間は部活に所属しなければならない」という学校の規則のもと、写真部に入部。しかし、蓋を開けてみると、写真部とはまったくもって異なる「ヤリチン☆ビッチ部」。そして、入部したからには1ヶ月以内に行為を済まさなければならないというルールがあって……というあらすじです。
登場キャラクターは全員個性豊かで全体的にテンションが高い作風ですが、その一方で、恋に不器用でピュアな一面や、心情の繊細さも綺麗に描かれています。
個人的にもタイトルの印象が強すぎて、存在は知っていたもののなかなか手を出せずにいたBL作品なのですが、読んでいくうちにギャグ要素とシリアス要素が交差するそのギャップに惹かれていきました。
迷っている人は、ぜひ先入観を取っ払って、まずは1冊読んでいただきたい作品です!
ギヴン
「ギヴン」も、アニメ化・映画化された人気の商業BL漫画です。ストーリーは、高校生2人、大学生2人の計4人で構成されたバンドメンバーを中心に展開されていきます。音楽がテーマの作品なので、映像化された音源に心を奪われる読者も続出。
ストーリー全体としては、エロシーンはほとんどなく、どちらかというと若者たちの青春BLといった雰囲気が強いです。4人の登場キャラクターはみんな魅力的で、それぞれの葛藤や過去を乗り越えて成長していく姿が丁寧に描かれています。好きな人とうまくいかないジレンマやすれ違いなど、読んでいて切なくなるような泣けるシーンも多数あります。
音楽が好きな人は、アニメから見て実際の音源を含めて楽しむのもおすすめですよ!
どうしても触れたくない
こちらも実写映画化された人気の商業BLのひとつ。作者は「囀る鳥は羽ばたかない」でおなじみのヨネダコウさん。
この漫画を一言でいうと、「ノンケ上司×ゲイ部下の涙なしでは読めない切なさ溢れるラブストーリー」です。どちらかというと、シリアス要素が多いBL作品で、過去のトラウマや苦悩を抱えた登場人物の心理描写が切なくも、ときに美しい作品です。
元カレとのトラブルがきっかけで転職したゲイの嶋 俊亜紀 (しま としあき)は、新しい職場の入社初日にエレベーターで外川 陽介 (とがわ ようすけ)に出逢います。外川はこのとき二日酔いで、酒臭いという最悪の状態。お酒が苦手で、たばこの匂いも苦手な嶋にとって、外川の第一印象は「最悪」そのものでした。しかし、徐々に外川の優しさを知っていくにつれて、いつの日か体の関係を持ってしまう2人。嶋は元カレとのトラウマから外川を本気で好きになってはいけないと葛藤しますが、それでもその思いは捨てきれずに関係を断つことはなかった……。
個人的には、嶋の「好きなのに傷つくのが怖くて行動できない」という気持ちが痛いほど伝わってきて胸が苦しくなりました。そんな嶋が外川の深い優しさに触れて、どう変化していくのかが見どころです。
外川自身も重い過去を抱えているので、そこもより物語を切なくさせています。辛い過去がある2人ですが、最後はハッピーエンドなので、最後までゆっくり見守りたくなる作品です。
全体的に涙なしでは読めないBL漫画なので、この作品は時間を取れる日の夜にゆっくり読むのをおすすめします!何度読んでも泣ける、だけどたまに本棚から取り出して読みたくなる。そんな素敵なBL漫画です。
えんどうくんの観察日記
最後に紹介するのは、ハヤカワノジコ先生の「えんどうくんの観察日記」です。この漫画は一言で言うと、「同じクラスで席が前後になったことから始まる高校生同士の青春BL」です。クールで天然な津田優とコミュ障でぼっちタイプの遠藤。2人はささいなことがきっかけで交流をもち、そこから津田の遠藤観察が始まります。
なかなか気持ちがはっきりせずに、見ているこっちが「あぁ……じれったい」となりますが、着実にゆっくりと距離を近づけていく2人。
ぱっと見はもっさり系の遠藤ですが、実はよくみるとほくろやうなじの色気がすごくで、津田と一緒にドキドキしてしまいます。漫画の後半では、遠藤視点の物語が展開されるので、こちらも非常に見応えがあります。遠藤視点を読むと、きっとまた最初から読みたくなりますよ。
セリフの言い回しや詩的だったり、行間で語るような作風で、どこか幻想的な雰囲気に包まれているBL漫画です。とにかく、はじめてのキスシーンがすごい素敵なので、ぜひ読んで欲しい作品です。エロなしの学生同士の青春BLを読みたい人は、今すぐチェックしてください!
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